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1991の別れ

今から30年ほど前「夢で逢えたら」というバラエティ番組があり、私はその番組がとても好きだった。

いや、好きだったなんて言葉では足りない。のめり込んでいた、というか。恋い焦がれていた、とでもいうか。

 

バラエティ番組なので、お笑いコント中心。好きになった理由は面白いから、というのはもちろんだけど、それだけじゃなかった。

出演者6人が作り出すワイワイと楽しそうな雰囲気と、おしゃれでカッコいい洗練された世界観。「Forever Friends」というオリジナルソングの歌詞にあるままのキラキラした世界に、幼い私は強い憧れを持った。

毎週録画して見るようになったのは、番組終了前の1年半ほど前から。なので初期の頃は番組内のリクエスト大会で知る形。

当時はまだ小学生。小学生が土曜の夜とはいえ0時までテレビを観るなんてまだまだ御法度だった頃。こっそりとビデオデッキにタイマー予約して、翌日録画したVHSを家族に隠れて見ていた。

そんな風にしていつものようにタイマー録画したものを再生した、1991年11月のある日。番組の構成がいつもと異なることに気づく。「Forever Friends」という副題がつき、シリアスなドラマが始まったのだ。

思い返すと、その前週の総集編にも違和感があった。番組の歴史を振り返るような総集編。もしかしたら、この番組はもう終了するのではないか?と思わせるような展開。

お笑い要素が全くないシリアスなドラマのストーリーは、まだ小学生だった私には理解できないものだった。ただ一つだけ分かったのは、このドラマと共に番組も終わるということ。

「夢で逢えたら」の番組終了による喪失感はとても深かった。単に毎週の楽しみがなくなったというだけではなくて、憧れの存在が消えてしまったような、心に穴の空いたような虚無感があった。録画してた総集編と最終回のドラマはビデオテープが軋んで絡まりダメになるまで何回も何回も繰り返し見てた。

大人の事情なんて言葉も知らなかった私は、それから毎日願い続けた。「夢で逢えたら」が復活しますように、と。なのでその1年半後、単発とはいえスペシャル番組があった時は、心の底から嬉しかった。そのスペシャル番組もテープが擦り切れるまで繰り返し見たことは言うまでもなく。

しかし、VHSの時代が終わる頃には、その貴重なテープも劣化し、テープ自体が擦り切れて壊れてしまった。私自身も歳を重ね、強い憧れも次第に他のものへと移っていき、当時の出演者が各々で活躍する姿を見ても「番組が復活してほしい」と祈ることもなくなった。

 

それから更に時は流れ、インターネットが普及。「夢で逢えたら」と検索すれば当時の画像や情報がいつでも見られるようになった。

そのことに気づいた私は、夢中で検索をかけて「夢で逢えたら」を探した。あの頃憧れていた世界に再び逢えるという時代になるなんて、正に夢のようだった。

そして当時の裏話もネット上で知った。番組開始から番組終了までの経緯も。

あの最終回のドラマのストーリーを思い返すと、その内容がいかに意味深なものだったか。当時まだ小学生だった私に理解できなかったのは無理もない。

 

私は今でもまだ憧れ続けてるのかもしれない。

友達・仲間・夢。

そして、それらがいつまでも変わらないままでいることはないという、現実的な展開も含めて。

それでも、何十年という時を経たいつかどこかで、また巡り逢える日はきっとくるという未来にも。

 

 

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